仮名作品
和歌のなかでも身近な「百人一首」を十五人で分担して書きました。紙の大きさや色、形の違い、書風も様々なので、仮名の多様な表現美を味わっていただきたいです。
画像をクリックすると拡大し、釈文が表示されます。
片岡 夕貴
小島切調


←右:ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただ有明の 月ぞ残れる
真ん中:村雨の 露もまだ干ぬ 真木の葉に 霧立ちのぼる 秋の夕暮れ
左:夕されば 門田の稲葉 訪れて 蘆のまろ屋に 秋風ぞ吹く
←右:滝の音は 絶えて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞こえけれ
左:世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる

小西 里奈
香紙切調







小林 瑠璃
曼殊院本古今集調


①契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波越さじとは
②かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを
③明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほうらめしき 朝ぼらけかな
④御垣守 衛士のたく火の 夜は燃え 昼は消えつつ ものをこそ思へ
⑤風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ くだけて物を 思ふころかな
⑥逢ひ見ての のちの心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり
小山 実紗
香紙切調

右から 契りおきし させもが露を 命にて あはれ今年の 秋もいぬめり
音にきく 高師の浜の あだ波は かけじや袖の ぬれもこそすれ
わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね かわく間もなし
見せばやな 雄島のあまの 袖だにも ぬれにぞぬれし 色はかはらず

右から さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば いづこも同じ 秋の夕暮れ
今来むと いひしばかりに 長月の 有明けの月を 待ち出でつるかな
わたの原 こぎいでて見れば 久方の 雲ゐにまがふ 沖つ白波
櫻井 美菜
関戸本古今集調





右から: 浅茅生の 小野の篠原 忍ぶれど あまりてなどか 人の恋しき
長からむ 心も知らず 黒髪の 乱れてけさは 物をこそ思へ
君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな
佐野 みなみ
針切調


右上: ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ
右下: 陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし 我ならなくに
左上: 花さそふ 嵐の庭の 雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり
左下: 逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし

髙原 利奈
筋切調





鶴口 夏菜
香紙切調

山里は 冬ぞ さびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば
心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花
このたびは 幣も取りあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに
小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば 今ひとたびの みゆき待たなむ
ありあけの つれなく見えし 別れより 暁ばかり 憂きものはなし
